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どうぶつ医療コラム『白内障』

眼が白くなってきた=白内障と考えていませんか?

今回は白内障についてお話しします。

白内障とは?

水晶体(網膜に光を集めるレンズ)の病的白濁のことで、通常不可逆性(元に戻らない)です。進行ともに視覚が失われ、緑内障や眼の炎症を引き起こすこともあります。発症年齢は生後すぐから高齢まで様々です。

原因は?

先天性、遺伝性、加齢性、中毒性、糖尿病などの代謝性、外傷性、栄養性など多岐に渡ります。

どんな症状?

眼(水晶体)が白くなります。進行すると視覚障害が出てきます。物にぶつかることが増えた、階段や暗いところを嫌がる、急に触るとびっくりするなどの症状は視力低下のサインです。白内障に続発し、水晶体誘発性ぶどう膜炎(LIU)を発症している場合は痛みや結膜の充血、前房フレア(白いもや)が発生することがあります。

診断はどうするの?

神経眼科学的検査ののち、瞳孔や前房、虹彩の状態を確認し、そのままでは水晶体の一部しか見えていないので、散瞳処置(瞳孔を開く目薬)をして、スリットランプにて水晶体混濁の程度を確認します。眼底検査や眼圧測定、超音波検査、網膜電図検査、全身のスクリーニング検査も行います。

白内障のステージは4段階あります(①→④の順で進行)。

初発白内障:水晶体の1割程度に混濁が見られる状態。視覚に影響はない。

イメージ→ちょっとだけ白い部分がある。

未熟白内障:水晶体の全体に混濁が及ぶが、完全ではなく、視覚は温存されている。

イメージ→全体がうっすら白い、ベンツマークみたいな線が見える。

成熟白内障:水晶体が完全に混濁、膨化し、視覚は失われている。

イメージ→全体が濃い白で奥が見えない。

④過熟白内障:水晶体皮質が溶けて(液化)縮小し、シワが見られる。視覚は失われている(少し回復していることもある)。

イメージ→成熟白内障の中に透明な部分が増える。いびつな感じ。

ステージが進行するにつれて、視力低下やLIU、続発性緑内障、網膜剥離などの合併症のリスクが増すので、早めの診断が重要です。

白内障以外でも眼は白くなります!

角膜炎やぶどう膜炎などの眼の炎症に伴って角膜や前房が白くなることがあります。また、白内障と紛らわしい疾患として、水晶体の中心の核が全体的に青白くなる核硬化症というもの(加齢性変化)があります。これは白内障と比較すると水晶体の混濁がなく、視覚も温存されているため、白内障と区別して考える必要があります。実際に混同されているケースをよく見かけます。

治療はどうするの?

根本的な治療は外科手術(水晶体超音波乳化吸引+眼内レンズ嚢内挿入)です。過去の報告では、内科的治療よりもかなり成績が良いです。ただし、手術適応の基準がいくつかあること、眼科専門病院など限られた施設でしか手術できないこと、高コストなどといったハードルがあります。当院で白内障と診断された場合、ご希望の方は眼科専門施設への紹介が可能ですのでご相談ください。

内科的治療としては、動物用医薬品として農水省の認可が下りているピレノキシン点眼薬(ライトクリーン)を使用し、定期的な診察、検査を行います。また補助的に、サプリメントとして研究報告の出ているポリフェノールなどを使用することもあります。内科的治療は白内障自体に対しては、進行を少し遅らせるだけで、完治させるものではありません。しかし白内障に続発してぶどう膜炎などの炎症が発生している場合は、抗炎症の点眼薬が有効ですので、状態に合わせて適切な投薬が必要です。

ひとこと

白内障は視覚の有無に関わる疾患ですので、早期診断治療が重要です。眼が白いなと感じたらすぐに診察を受けましょう。ただ、視覚を失ってしまった子でも、その他の感覚が発達し環境に適応して楽しく暮らしている子は多くいます。各々の状況に応じた最善の選択ができるようにお手伝いさせていただきます。

院長 田中 啓之

院長紹介ページはこちら→http://www.takei-amc.com/staff/inchou.htm


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