腫瘍科

腫瘍科

おうちの子にはできるだけ長生きしてほしい、元気でいてほしいというのはご家族皆様が思うことでしょう。

実際、どうぶつ達の平均寿命は獣医療の進歩により年々伸びてきています。
その高齢化に伴い増えてきている病気が「腫瘍」、一般的に「がん」と呼ばれているものです。
腫瘍細胞は、健康に見えるからだの中であっても1日に何個も出現しています。
それを撃退するのが免疫系の細胞(リンパ球や樹状細胞など)です。

うまくその免疫系が働いているうちは、肉眼で見えるような腫瘍は出てきません。腫瘍の増殖スピードが速かったり、腫瘍の出す物質やどうぶつの体力低下により免疫系が破綻したりした時に初めて腫瘍が発見されるのです。
つまり、肉眼で見えるようになった腫瘍は、かなり進行してきたものということです。

そのため腫瘍治療の原則は早期発見、早期治療です。
適切な治療を受けることにより、生存期間の延長が見込めます。
国立中央どうぶつ病院の腫瘍科では、 獣医腫瘍科認定医が現状を的確に把握し(腫瘍の大きさ、拡がり具合、転移の有無の確認、全身状態の確認など)、最新のエビデンスに基づいた治療オプションを提案します。

診療の流れ

問診

ご家族への問診(かなり重要です、過去の検査結果などがあればご持参ください)

検査

身体検査、尿検査、便検査、血液検査、血液化学検査、内分泌検査、超音波検査、 X線検査、CT検査、MRI検査、内視鏡検査、細胞診検査などにより現状を把握し、診断します。
(最終的な確定診断は切除後の病理組織学的検査や遺伝子検査によることが多いです。)

治療のオプションを提示

治療のオプションを提示

治療の目的は大きく分けて3つです。

  • 根治治療:腫瘍の根治を狙う治療
  • 緩和治療:腫瘍の増殖をある程度抑えながら、QOLの改善を狙う治療
  • 対症治療:腫瘍の増殖は許容しつつ、QOLの改善のみを狙う治療

治療の目的をご家族と相談し、共有します。

治療方法として、大きな柱が3本あります。

手術で切り取る「外科療法」
  • 局所療法として大きな腫瘍を全部摘出できる可能性がある
  • 根治できる可能性が一番高い
  • コストは低め
  • ほとんどの場合で麻酔が必要
  • 短期的な身体への負担は大きめ
  • 遠隔転移や浸潤が強い場合には効果が限定的
お薬で叩く「化学療法」
  • 全身療法として手術で取りきれない細胞レベルの腫瘍もカバーできる
  • 麻酔が必要ない
  • 抗体医薬など近年発展がめざましい
  • 大きな腫瘍への効果が限定的
  • 副作用とうまく付き合う必要がある
放射線を当てて細胞を倒す「放射線療法」です。
  • 局所療法として効果が高い
  • 身体の形態・機能が温存できる
  • 身体への負担は少なめ
  • 実施可能施設が限られ、コストが高い
  • 放射線障害のリスクを考える必要がある

これらを組み合わせるとともに、全身状態を良好に保つため制吐剤、鎮痛剤なども併用していきます。
治療方針はご家族としっかり相談し、納得していただいたうえで決定します。
腫瘍の治療はつらいものになりがちですが、できるだけ楽しく生活できるようにスタッフ一同治療に当たらせていただきます。

*近年これに加え、免疫療法も選択肢の一つとなってきています。


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