予防医療

ノミダニ予防

ノミ

うちの子の背中に黒い粒が付いている。。。
一度その粒を濡れたティッシュの上で潰してみてください。もし赤いものがにじんだらそれはノミの糞の可能性が高いです。
ノミが血を吸ってお腹いっぱいになった後、血を含んだ糞をするのでそのような見え方をするのです。
ノミの糞があるということは、ノミが血を吸って産卵して数を増やそうとしているということです。
ノミは13℃以上の環境で活発に産卵し数を増やすので、冬でも室内で増えていることがあります。

寄生された犬、猫はかなりの痒みを感じ、ボリボリ身体を掻いていると思います。
また、ノミは痒みを引き起こすだけではなく、細菌やお腹の寄生虫をつれてくることもあります。

ノミによって起こる病気

ノミアレルギー性皮膚炎

吸血により、その唾液成分が体内に入ることで、アレルギー反応がおこり、激しい痒みや湿疹、脱毛などを伴う皮膚炎を示すようになります。寝ることもできないくらい痒がってしまう子もいます。

サナダムシ(瓜実条虫)

ノミの幼虫がサナダムシの卵を食べ、その体内で発育します。 成虫になったノミを犬や猫がグルーミングなどで食べてしまうことにより、小腸に寄生し、下痢や嘔吐の原因になります。

猫ひっかき病

バルトネラという菌によっておこる病気で、感染猫からほかの猫にノミが媒介します。猫には症状は出ませんが、感染した猫に人間が引っかかれたり、噛まれたりすると、リンパ節がはれて、数か月続く発熱や頭痛を起こすことがあります。

マダニ

「かさぶたができているので診てください。」このような主訴で来院した子を診てみると、かさぶたの様に見えていたものが吸血したマダニだったということがよくあります。
マダニは草むらに住んでおり、どうぶつの血を吸って繁殖します。
この時、自分の身体の100倍くらいの血を吸うので、膨張してかさぶたの様に見えたのです。
この吸血により、犬、猫の貧血を引き起こしたり、様々な寄生虫、ウイルスを媒介したりします。
人にうつる病気を持ってくることもあるため、注意が必要です。国立市でも大学通りの緑地帯等でダニをもらってくる子がいます。

マダニによって起こる病気

犬バベシア症

バベシア原虫が赤血球に寄生、破壊することにより、貧血、発熱、食欲不振や黄疸などがみられ、死に至ることもある恐ろしい病気です。

猫ヘモバルトネラ症

猫の赤血球表面に寄生するヘモバルトネラというリケッチアが原因となり、貧血、発熱、元気消失などの症状が見られます。

ライム病

マダニからペットや人にも感染し、犬では主に神経症状、発熱、食欲不振などの症状が、人では皮膚症状や神経症状、関節炎などの症状が見られます。

重症熱性血小板
減少症候群(SFTS)

マダニを介してウイルスが人に感染する可能性が示唆されています。6日~2週間の潜伏期間を経て、発熱、倦怠感、消化器症状、出血などの症状がみられます。致死率10~30%と非常に怖い病気です。

ノミダニはどうやって予防するの?

月に1回ノミダニ予防薬を飲むか背中につけるかで予防できます。
当院では美味しいジャーキータイプや背中につけるスポットタイプの予防薬をご用意しております。
その子の体調や生活習慣に応じて最適な薬を選びましょう。
詳しくは獣医師にお尋ねください。

フィラリア予防

フィラリアという寄生虫をご存知でしょうか?

イメージで言うと白いミミズのような虫です。
以前に比べるとだいぶ少なくなりましたが、東京でもまだ感染例は毎年報告されています。
他の土地から来た保護犬で見つかることがあります。

フィラリアは以下のように体内で悪さをします。

蚊の吸血により、蚊の体内にいるフィラリアの幼虫がどうぶつの体内に入ります。
幼虫は約120日かけて成長しながら移動し、最終的には成虫(約30cm!)となって肺動脈や心臓に寄生します。
成虫の寄生により、血管、心臓の機能は障害され、放置すると死に至る場合もあります。
中には、脳に行ったり、目に行ったり、場所を間違えて寄生し障害を起こす虫もいます。

成虫になってから取り除こうとすると、首の血管からカテーテルを入れて取り出す等かなり大掛かりな手術が必要です。よって、フィラリアが幼虫でいる間に駆虫しなくてはなりません。
これが一般的に「フィラリアの予防」と言われるものです。
国立周辺だと4月から12月まで、つまり、蚊が出始める時期から蚊がいなくなって1ヶ月後まで、1ヶ月に1回お薬で駆虫する必要があります。フィラリア症は投薬をしっかり行えば100%予防できる病気です。

当院では、その子の好みや体調、生活習慣に合わせて錠剤のお薬、背中につけるスポットタイプのお薬、美味しいジャーキータイプのお薬をご用意しております。
また、コリーさん、シェルティーさんは先天的な遺伝子異常があり、飲めるお薬が限定される場合がありますので、獣医師にご相談ください。

*フィラリア検査について

フィラリアの予防薬を始める前に、毎年血液検査をしてフィラリアの感染の有無を調べることが必要です。これはなぜかというと、フィラリアが多く寄生した状態で予防薬を飲ませると、フィラリアが死ぬ際の毒素でショック症状を起こしたり、死んだ虫が血管に詰まったりして命に関わる場合があるからです。

猫のフィラリアについて

フィラリア症は犬の病気で猫には関係ないと考えていないでしょうか。

実は猫にもフィラリアは感染します。ある研究によると10%程度の猫がフィラリアに感染していると言われています。感染経路は犬と同じく蚊の媒介ですが、寄生場所と症状が違います。

犬のフィラリアは成虫が心臓や肺動脈に寄生しますが、猫のフィラリアは成虫までは成長せず、幼虫が肺のあたりで留まって症状を引き起こします。
主な症状は、咳や呼吸困難、嘔吐などです。うちの子慢性的に咳が続いているなと思ったらまずご相談ください。
猫で起こる原因不明の突然死が実はフィラリア症によるものだったというケースも報告されています。
フィラリアの検査は犬と同じく血液検査ですることができます。しかし少数寄生の場合は検出感度が高くないので、肺のレントゲンやエコー検査と組み合わせて、年に1回チェックすることをお勧めします。

予防は、猫用のフィラリアノミダニ合剤が出ているので、月に1回それを背中につけて行います。家でつけるのが難しい子は、病院でつけることも可能なのでご相談ください。

フィラリア症はかかってしまうと大変な病気ですが、ご家族の心がけ次第で予防できます。
しっかりと検査を行い、予防を始めることをお勧めします。

予防注射(混合ワクチン、狂犬病ワクチン)

混合ワクチン

混合ワクチンは、重症化しやすい複数の感染症をまとめて予防するために開発された、お守りのようなものです。
これを打っておくだけで将来の病気が予防できたり、症状が抑えられたりするので、どうぶつの命を守るために、時期に応じて接種することが必要です。

子犬の場合は通常、約2ヶ月齢、3ヶ月齢、4ヶ月齢で1ヶ月ごとに注射を打ち、免疫力を高めます。その後は年に1回ずつの接種で抗体をキープします。
近年はワクチンガイドラインが世界的に変わってきており、年1回血液から抗体価を検査し、病気に対する抗体が高く保たれていれば、3年以上ワクチンを打たずに生活することも可能です。
ただし、ワクチンの種類や生活環境、その時の体調によっても大きく異なってくるので、診察時に獣医師にご相談ください。

犬のワクチンで予防できる病気

犬パルボウィルス感染症 (2種以上)

激しい下痢や嘔吐をおこし、食欲がなくなり、急激に衰弱します。感染犬のうんちに潜むウイルスは伝染力が強く、死亡率の非常に高い恐ろしい病気です。

犬ジステンパー (2種以上)

発熱、下痢、鼻炎、結膜炎、嘔吐や下痢を起こし、神経のマヒが起こることもあります。死亡率が高く、犬パルボウィルスと並んで非常に怖い伝染病です。

犬伝染性肝炎 (5種以上)

腹痛、下痢、嘔吐、食欲不振などがみられ、目が白く濁ることもあります。生後1年未満の子犬が感染すると、全く症状を示さずに突然死することがあります。

犬伝染性喉頭気管炎 (5種以上)

発熱、食欲不振、くしゃみ、鼻水、短く乾いた咳がみられ、肺炎を起こすこともあります。他のウイルスや細菌と混合感染することにより、症状が重くなります。

犬パラインフルエンザウイルス感染症 (5種以上)

喉や鼻水などのカゼ症状を示します。 混合感染や二次感染を起こすことで症状が重くなります。伝染力の非常に強い病気です。

犬コロナウイルス感染症(6種以上)

成犬だと軽度の胃腸炎、子犬の場合は重度の水下痢や嘔吐を引き起こします。犬パルボウイルスとの混合感染で重症化することがあります。

犬レプトスピラ感染症 (7種以上)

レプトスピラという細菌が原因の伝染病で、腎臓や肝臓が侵され、腎炎や尿毒症、黄疸などの症状が起き、人にも感染する危険性がある病気です。 そして、レプトスピラは西日本に主に生息しているため、そちらに犬を連れて行かれる場合には、必ず打つ必要があります。またこの病気は感染動物の尿を介して感染するため、西日本でなくても水辺やキャンプ場、牧場等に行く予定がある場合も事前に打つ必要があります。

子猫の場合は、通常約2、3、4ヶ月齢で1ヶ月ごとに注射を打ち、免疫力を高めます。
その後は1年〜3年に1回の注射が基本ですが、心配な方には犬と同様ワクチン抗体価の血液検査が可能です。
猫の場合は特に、接種部位肉腫という腫瘍ができることがあるので、ワクチンを打つ部位に注意が必要です。

猫のワクチンで予防できる病気

猫ウイルス性鼻気管炎 (3種)

猫ヘルペスウイルスによる感染症で、発生率が高く、激しいくしゃみ、咳、鼻炎、発熱などの風邪のような症状のほか、角膜炎や結膜炎を引き起こします。子猫では症状が激しく、非常に死亡率の高い病気です。

猫カリシウイルス感染症 (3種)

猫カリシウイルスによる感染症で、はじめはくしゃみ、鼻水、発熱など風邪に似た症状が見られますが、症状が進むと舌・口の周囲の水疱、潰瘍が見られます。歯肉口内炎の原因になります。

猫汎白血球減少症 (3種)

猫パルボウイルスによる感染症です。 血液中の白血球(免疫の細胞)が極端に少なくなる伝染病で、元気消失、食欲不振、高熱、嘔吐、下痢による脱水といった症状が見られます。経過が早く、特に子猫では死亡率が非常に高い病気です。

猫エイズ、猫白血病のワクチンについては接種条件がありますので、獣医師にご相談ください。

混合ワクチンの安全性について

ワクチンによって多少の違いがありますが、ワクチンによってアレルギーのような副作用が出る可能性は約0.5%以下と非常に低い確率です。ただし副作用はゼロではないので、ご家族もアレルギーについて正しく理解しておくことが重要です。
ワクチンによるアレルギーは大きく2つの症状に分かれます。
1つは命の危険性もある急性のアナフィラキシーショック、もう1つは顔がはれてしまったりする遅延型のアレルギー症状です。

アナフィラキシーショックはワクチンを打った直後に起こる症状です。
血圧が急降下し、呼吸や心臓が急に止まってしまったり、意識を失って倒れてしまったりします。これは非常に低い確率で起こるものですが、事前に把握することができません。当院では、このアナフィラキシーショックをできるだけ見逃さないように、接種後は待合室で休憩していただき、10分程でスタッフが体調を再確認するように配慮しております。

遅延型のアレルギーは、打った後から2-3時間以降で出てくることがあります。
お顔がパンパンに腫れたり、接種部位が腫れたり、嘔吐や発熱がみられることもあります。ダックスフントに多い症状で、5-6種ワクチンよりも7種以上のワクチンで多く起こることがわかっています。
ワクチン接種後1日は安静にし、ご家族の方が様子を見てあげてください。普段と違う症状が見られたら、すぐに病院にご連絡ください。

混合ワクチン接種はどうぶつの健康維持に必要なものです。接種の予定などお気軽にお問い合わせください。

狂犬病ワクチン

狂犬病は、未だに世界中で毎年約60,000人もの死者を出している非常に怖い病気です。現在の日本にはない病気ですが、日本のように狂犬病がない清浄国は全世界でもかなり少数で、イギリス、オーストラリアなどの一部の国のみです。日本でも、ここまで清浄化するにはかなりの時間と労力が必要でした。

狂犬病は、狂犬病に感染した犬に咬まれて発病することが多いため、”犬”という文字が使われていますが、実際には犬だけでなく、人を含めたすべての哺乳類に感染するきわめて危険な感染症です。感染すると、神経細胞の中に潜伏し、最終的には脳に侵入します。発症すると神経症状を起こし、ほぼ100%死亡するとんでもなく怖い病気です。最強のウイルスとも言われています。

日本ではワクチン接種や動物検疫により、長期間にわたり発生がありません。しかしながら2006年には、フィリピンで日本人が犬に咬まれ感染し帰国後発症しました。狂犬病発生地域からの人や動物の往来が活発な今、いつ狂犬病が日本で発生してもおかしくないという状況です。

このような状況のため、犬に狂犬病ワクチンを年に一度接種することが『狂犬病予防法』という法律で国によって義務付けられているのです。

狂犬病ワクチンを打つと狂犬病になるというような噂も巷に流れていますが、狂犬病ワクチンは「不活化ワクチン」という感染力をなくしたウイルスを使ったものなので、感染することはありません。
ワクチン接種後のアレルギーは、混合ワクチンより少ないですが、稀に起こることがあるので、病院内でのチェックと家に帰ってからのチェックが必要です。
また、法律で市への登録が義務付けられているため、接種後は市の機関に手続きに行く必要があります。当院では、これらの手続きの代行も行っておりますので、近隣地域の方はご相談ください。

動物の肥満

最近は太っている子を診ることが多くなりました。
東京近郊では室内で暮らす子が増えたのもその一因であると思います。
自分のごはんに加え、人のごはんももらって、散歩が嫌いなためあまり運動しない。。。そのような生活習慣の子も少なくないでしょう。

肥満は理想体重を15%-20%オーバーしている状態です。
ある大規模調査によると4頭に1頭が肥満状態にあることがわかっています。
肥満によって、様々な病気のリスクが一気に高まります。
例えば、糖尿病、心臓病、関節炎、尿石症などの下部尿路疾患、肝リピドーシス等です。
ひどくなると歩けなくなるだけでなく、命に関わる病気も多いので、肥満の子を標準体重に戻してあげることは、ご家族の義務と言えます。
肥満の子と標準体重の子で寿命が2年違うという研究結果もあります(Kealy et al.,2002)。
肥満で良いことといえば、ちょっと見た目が可愛いことくらいしかありません。

ダイエットに向けて、まず病院で生活習慣のカウンセリングを行い、一般身体検査とともに体重測定、ボディーコンィションスコア(BCS)の測定、可能であれば腹囲や体脂肪率の測定も行います。
それらの結果をもとに、無理のないダイエットの計画を一緒に作っていきます。
やはり、少しずつでないとご家族もどうぶつ達もストレスになるので、「無理がない程度」というのがポイントです。
また、この時点でホルモン疾患等、病的な肥満と診断された場合はその治療計画を立てます。

基本的には、ダイエット=適切な食事管理です。適度な運動ももちろん必要ですが、運動だけで痩せるのは非常に困難です。
例えば、ジャーキーたった1本(約10kcal)のエネルギーを消費するのに、10kgの子であれば1km散歩しないといけません。
これは肥満の子にとってはかなりの重労働です。そこで食事習慣の修正が重要になってくるのです。

各メーカーがダイエットフードを出しているので、体質にあったフードを選んで少しずつ食事を変えていくのが良いでしょう。
定期健診時に体重の増減を見てフード量を微調整していきます。
手作り食であれば、炭水化物や脂質をある程度制限しつつ、必要なタンパク質、ビタミンなどの栄養素はしっかりとれる食事を作っていきましょう。
手作り食のみで必要な栄養素を補うのはかなり難易度が高いので、栄養バランスについてはその都度相談に乗ります。
ご興味のある方はスタッフまでお問い合わせください。


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