先日、第1回日中韓ワンヘルスシンポジウムに参加してきました。
内容は「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の予防・診断・治療に関する研究成果についてです。
SFTSはどうぶつと人の命を守るため、飼い主さんにぜひ知って頂きたい病気です。
お時間のない方は「飼い主さんにお願いしたいこと」をまず読んで頂ければと思います。
ダニ媒介感染症であるSFTSは2011年に中国で発表され、その後日中韓で患者が報告されていることから、各国の研究成果と取り組みを共有・議論するために行われました。
SFTSの人の症状は発熱、消化器症状が多くに認められるほか、神経症状や筋肉痛、出血症状が認められる場合があります。
血液検査では血小板減少や白血球減少、肝酵素上昇などが見られます。
現在西日本を中心に患者の報告(多くは50歳以上で屋外活動有)があり、人での致死率は約20%とされています。患者人数は2018年10月31日時点で391人です。
人だけではなく、流行地では今までに猫では60匹、犬では4匹の症例報告があるとのことです。
猫では人と同様な症状がみられますが、その致死率が高く約60%に達する一方で、犬では感受性が低いと考えられています。
感染経路としてはダニによる刺咬で、患者発生の時期はマダニの活動が活発になる春から秋が多いことが知られています。
またSFTSを発症した犬猫から人が感染したと考えられる事例があり、体液(血液や便など)などからの人への感染の可能性が示唆されています。
【飼い主さんにお願いしたいこと】
①動物のマダニ予防を徹底しましょう。
外を散歩する犬や外に出ることがある猫では特に、駆虫薬を使用してマダニ予防を徹底しましょう。
お済みでない方は動物病院にご相談ください。
②動物にマダニが付いていたら適切に駆除しましょう。
咬まれないように注意し、無理に取らず、動物病院で駆除剤を使用して駆除しましょう。
③野外の動物には直接触れないようにしましょう。
野外の動物はマダニのような寄生虫を保有していたり、感染症にかかっていたりする場合があるため注意してください。
やむを得ずSFTSを疑う動物と接触する場合は、ゴーグル、マスク(フェイスマスク)、手袋を使用してください。
東京では今のところ患者の報告はありませんが、徐々に患者発生の地域が広がっています。SFTSを媒介する可能性があるマダニは東京にもいます。
森林や草むらなどの他市街地周辺でも生息していることから、油断をしないことが大切です。
過度に恐れる必要はありませんが、正しい知識を知って対策を行うことが動物と飼い主さんを守ることにつながります。
さらに詳しい情報を知りたい方は厚生労働省のHPや国立感染症研究所のHPを参照されるのが良いと思います。