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どうぶつ医療コラム『チョコレート中毒』

今年もバレンタインデーが近づいてきました。

この時期に頻発するのが、「知らない間にチョコレートを食べてしまいました!」という相談です。

ワンちゃんネコちゃんにチョコレートはあげてはいけないという話は耳にされたことがあるかと思います。

今回はそこをもう少し掘り下げて解説します。

チョコレートの何がダメ?

カカオに含まれるテオブロミンという成分がチョコレート中毒の主な原因です。

キサンチン誘導体で中枢神経興奮作用や心血管系興奮作用があるカフェインに似た成分と言った方がイメージが湧きやすいでしょうか。

犬は遺伝的に代謝酵素を欠損している場合が多く、また人間に比べて体が小さいので影響が出やすいのです。

どれくらい食べたら中毒になるの?

様々な報告があるため一概には言えませんが、テオブロミンを体重1kgあたり20mgの摂取することで軽度の症状が出る可能性があります。

テオブロミンのLD50(50%の個体が死亡する摂取量)は体重1kgあたり100-200mgと言われています。

でもテオブロミンの量で言われてもいまいち想像しにくいですよね。

チョコレートの量に換算するとどれくらいになるのかというと、20mgのテオブロミンを含むには、ココアパウダーで0.2-1.9gダーク(ビター)チョコレートで2.3-4.5gミルクチョコレートで9.5-20g、という報告があります(Bate N et al, 2015)。

つまり、上記の量に体重を掛け算した量が中毒量ということです。

ホワイトチョコレートはかなりテオブロミン濃度が低いので問題になる可能性は低いようです。

ただし、製品によってもテオブロミン量に幅があるのであくまで参考と考えたほうがよさそうです。

また、感受性には個体差があるため自己判断は禁物です。

どんな症状が出るの?

チョコレートを食べてから通常2-4時間、場合によっては6-12時間で発症します。

主な症状は嘔吐や下痢、腹痛、唾液が沢山出る、多飲多尿、胃拡張、興奮、頻脈や徐脈、痙攣、頻呼吸、チアノーゼ、運動失調等です。

しばらく経ったのちに膵炎を引き起こすこともあります。最悪の場合死に至ります。

食べたらどうすればいいの?

まず落ち着いて病院に連絡をください(夜間の場合は救急病院へ)

その際に伝えることとしては、どのような種類のチョコレートをいつどれくらい食べたか、おおまかな体重現在の症状(上記のような症状など)です。

あまりにも摂取量が少ない場合や時間が経ちすぎている場合には経過観察になることもありますが、来院をお願いすることが多いです。

来院したのちに、可能であれば催吐処置(お腹に残っているチョコレートを吐かせる)をし、胃洗浄を行う場合もあります。

輸液活性炭の経口投与も有効です。痙攣や不整脈に対しては対症療法を行う必要があります。適切な処置を行えば予後は良好です。

院長からのひとこと

チョコレート中毒に関してはほとんどの場合が、こっそり食べていたパターンです。特に犬は匂いでチョコレートのありかを察知し、頑張って食べようとします。届く所にチョコレートを置かないというのが一番の予防です。届かないと思っていた所に届くことがあるので、確実に届かない所に置くようにしましょう。


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