- 歯周病とは?
歯周病は、犬や猫の3歳以上の70%以上が罹患しているといわれています。
歯周組織とは、口腔内で歯を支えている組織のことで、歯肉、歯周靭帯、歯槽骨、そしてそれらを支持する結合組織や血管を指します。
歯周病は、この歯周組織の病気で、歯肉が炎症を起こして赤く腫れ出血したり、進行すると歯を支える組織が破壊されます。
また口臭や膿汁なども認められることがあります。
放置すると、歯槽骨が破壊されて外側の皮膚まで貫通して膿汁などを排出する外歯瘻や口腔内に貫通する内歯瘻といった状態になったり、顎の骨折をしたりします。
- 歯周病の発生と進行
口腔内は常に唾液で覆われています。
唾液中のペリクル(糖蛋白)が歯の表面に沈着すると、これは「接着剤」のような働きをしてしまい、次々と細菌が付着します。さらに食べかすや口腔内の細胞などが集まって「歯垢(プラーク)」が形成されます。
さらに唾液に含まれる炭酸カルシウム塩とリン酸カルシウム塩が加わり、3日〜5日程度で石灰化して「歯石」になります。
カルシウム塩はアルカリ性の方が歯垢に沈着しやすく、唾液がアルカリ性の犬や猫では、酸性の人よりも歯石が沈着しやすいと言われています。
歯石が形成されるとさらに歯垢が付きやすくなり、炎症の原因となります。
はじめは歯肉の軽度の炎症ですが、次第に炎症がひどくなり、歯肉と歯の間(歯周ポケット)が形成されます。
歯根膜や歯槽骨が破壊されるようになり、歯がぐらつくようになります。
- 歯垢と歯石の除去(スケーリング)
超音波スケーラーを用いて、歯の表面の歯垢や歯石を除去するだけでなく、外から見えない歯周ポケット内の歯石や歯垢を取り除きます。繊細な処置が必要となるため、どうぶつの安全のために、麻酔下で行います。
なお、無麻酔での歯石とりは、非常に危険なだけでなく、病態を悪化させる可能性があり、日本小動物歯科研究会からも、注意喚起がなされております(詳細は研究会HP)。
- ホームケアの重要性
歯垢が歯石になる前に歯磨きで取り除くことができれば、歯周病の進行を抑えることができます。
どうぶつに協力してもらえる状態を作ることと、飼い主様が正しい歯磨きの方法を習得し根気強く続けることが重要です。
どうぶつにとって歯磨きはあまり気持ちの良いものではありません。
なぜやるのかは理解できないですから、じっとしていないからといって怒られると「嫌な経験」として覚えてしまいます。
笑顔で優しく声をかけながら行い、良くできたらしっかり褒めてあげることが重要です。
歯磨きの方法も、すぐに歯ブラシを使うのではなく、まずは口に触ることに慣れてもらい、次にデンタルシートを使った方法、それができるようになったら歯ブラシを使います。
少しずつ段階的に行い、最終的には毎日磨く習慣ができると良いでしょう。
国立中央どうぶつ病院では、1対1の歯磨きプライベートレッスンを行なっています。歯石と歯肉の付着具合のチェックから歯磨きのコツと実践トレーニングも行いますので、ぜひ一度、ご利用ください。
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